【キャリアデザイン部】元Jリーガーが語る仕事とサッカーの両立について
はじめに
こんにちは!
キャリアデザイン部です。
久しぶりのキャリアデザインの記事となります。
今回はプロサッカー選手を引退後、仕事もサッカーも両立し、新たなサッカー選手の姿を体現している渡邉 大剛選手(#18❘通称:大剛さん、大ちゃん) 、福田 友也選手(#6❘通称:ふくさん)、長澤 拓哉選手(#33❘通称:たく、長澤)の3名の対談です!
引退当時の気持ち、そしてセカンドキャリアを歩み始めて感じているリアルな想い、考えを語ってくれました。
サッカー選手とビジネスマンの両輪で活躍する彼らの三者三様の考え方、現役選手へのメッセージをぜひご連絡下さい!
品川CC入団のきっかけ
ーーーまずは、みなさんそれぞれのJリーグから品川でサッカーを続けようと思ったきっかけを教えてもらえますか?
>大剛
ビジネスを学べるから、品川CCで続けていこうと思った。
自分は年が明けて1月中旬くらいに、色々なチームが始動している中オファーがなくて、自分の居場所はここにないいんだな、とセカンドキャリアを考え始めました。
アパレルとかドックサロンの経営とか何かビジネスを始めたい、でもどうやって次のキャリアを始めていいか分からない、そんな時に吉田さんと出会いました。
吉田さんと話した時に、サッカーに軸を置く社会人サッカーチームもたくさんある中で、品川の「仕事もサッカーも全力」というクラブ理念を聞いて、そこに共感して入りました。
「俺らちゃんと稼ぎながら、でもサッカーも一生懸命やってるよってかっこよくない?」っていう言葉にすごい惹かれましたね。
>福田
品川が掲げる理念に共感したという部分では僕も同じですね。
このチームのことは、大剛さんがいるということで存在は知っている程度でした。
実際に自分がプロサッカー選手を引退するとなった時は、サッカーは辞めてもいいかな、サッカー以外を見てみたい、という気持ちになっていました。
サッカーをやりたくないというよりは、今まで真剣に向き合ってきたサッカーを中途半端にやって嫌いになりたくない、という思いが強かったかな。
どちらかと言えば、まず仕事をやる、その上でちゃんとサッカーができる環境があればやってもいいかな、と思ってました。
ーーーサッカーを続ける気持ちがなかったところから、どうして品川でサッカーを続けようと思ったんですか?
>福田
何か違う世界を見てみたいと思っていたけど、自分にはビジネス経験がない。
そんな中で吉田さんに会って、「品川ではビジネス面が身に着けるられる」、「自分はJリーグとしての経験を伝えられる」お互いにメリットを提供できるという話をして、それであればここでサッカーも続けながら仕事も頑張っていこうと思いました。
>大剛
たくちゃんはどう?
>長澤
僕ですか。僕はこの3人の中で一番契約満了になった選手の気持ちが分かるかと(笑)
>大剛、福田
いやいや、みんなわかるわ(笑)
>長澤
(笑)
僕はJ2からJ3に落ちた時、1年で個人昇格かチームが昇格できなかったら辞めるという約束を大剛さんとしていて、元々吉田さんに話をしてくれていたんですよね。
実際は1年で契約満了になってしまって、僕自身はまだプロとしてサッカーを続けたいという思いがあったので、トライアウトも受けたし練習参加もしたんですけど、J3以上のチームから話は来なくて。
JFLから話をもらったりしたものの、あまり気が進まなくて断っちゃったんですよね。
1月2月になったときにどこも行くことがなくて、プロ契約でサッカーをするところはないな、次の道に進もうと決意しました。その時に大剛さんに相談して、元々吉田さんに話してくれていたので、一度話を聞いてみよう、となったことがきっかけですね。
>福田
優先順位的には僕らと逆だよね。サッカーを軸に探していた結果、たどり着いたっていう。
僕と大剛さんはサッカーというよりは、キャリアとかビジネスに重きを置いてたどり着いたからね。
>大剛
そうそう。
>長澤
そうだね。
吉田さんとこれからどうする?という話をした中で、時間はかかりましたけど、今に至ります。
ーーー大剛さんに相談してなかったら、どうなっていたと思う?
>長澤
サッカーするしか選択肢がなかったかもしれない。地域リーグで続けるか、それか家業を継いでたかなあ。
J3から上がれなかったらどうしようとは思っていたけど、具体的に自分で何かアクションを起こしたりはしてなかったです。正直、どこかしらいけるなと思っていました。
自分みたいに、どこも行先がなくなって初めてやばいな、と思う選手も多いんじゃないかな。
プロサッカー選手時代のキャリアへの意識
ーーー2人(大剛、福田)はプロ時代からその後のキャリアを意識していましたか?
>大剛
プロ時代は、全く考えていなかった。
タクと一緒で、全く考えていなかったですね。
選手会主催でセカンドキャリアについての研修やシーズンオフにインターンの制度もあったけど、どこか他人事のように感じていたかも。サッカー以外のことに目を向けるのが、サッカーに対して悪い気がして…。
>福田
僕は逆に、考えていたんだよね。
町田に入って1年ぐらいで、もちろんサッカー選手として上は目指したいけど
何となくJリーグの中での自分の立ち位置とか、限界値も見えてきて。そんな中盛岡にレンタルになったこともあって、このままだとサッカー選手としてだけではなく、今後の人生難しくなるなと漠然と感じていました。
サッカー選手が目的から手段に変わっていた。
これまではサッカー選手として成功することが目的でした。
でも普段会えないような人に話を聞く機会があって、サッカー選手だからこそ会える人、サッカー選手だからこそできることがあるということに気づいて、いつしかサッカー選手が目的から手段に変わっていたんだよね。
あとは、盛岡にいたときに社長が変わって、経営コンサルの話を聞いたのも大きいかな。
色々な人と会う中で、サッカー選手の世界ってめっちゃ狭いなと感じて、ビジネスのスキルも身に着けたいと思うようになりました。
ーーー2人(大剛、長澤)はセカンドキャリアを考え始めた時、まず何から始めましたか?
>大剛
まずは、大宮時代にお世話になった人たちにセカンドキャリアについて悩んでることを相談していましたね。半年間くらいは毎週のように東京に行って、その度に人を紹介してもらって。
でも当時は、色々な人に何がやりたいの?と聞かれても、何をしたいかも分からないような状態。
サッカーがなくなった時、何をやりたいのか見つからなかった。
30年弱サッカーをずっと続けてきて、それがなくなった時に、いざ何がやりたいかいわれても分からなかったんですよ。
ただ色々な人と会う中で、ずっと続けてきたサッカーを手放すのはもったいないな、という思いも出てきて。
最終的には、メディアやエージェントとしてサッカーの仕事もやりつつ、それ以外のビジネスもやっていこうと決意しました。自分がサッカーをすることは正直考えていなかったんだけどね。(笑)
>長澤
僕は何も考えてなくて、選択肢がなくなった時に「あ、詰んだな」と。(笑)
英語できれば何とかなるだろうと思って、英会話を習ったりはしていたけど、本当にそれぐらいです。
大剛さんに相談をしていなかったら、大剛さんが吉田さんと知り合ってなかったら、今の自分はないですね。
>大剛
どうにかなると考えているサッカー選手も多いかもしれない
タクみたいに、どうにもならなくなった時に初めてどうしようと真剣に考えるんだろうな、というのは自分も含めてあると思う。
僕は弟の紹介で吉田さんと知り合ったんだけど、弟は「兄貴はもうサッカーはいいって言ってるし、頑固だし話を持って行っても聞かないだろうな」と思ったのか、最初は全然話をしてくれなかった。(笑)
トライアウトが終わってから弟から話を聞いて、吉田さんに会うという選択をしていなかったらこういう風になっていなかったね。
まずは自分のステレオタイプを捨てて、人の話を聞いてみるというのは、ビジネスにおいても大事ですね。
サッカーと仕事の両立
ーーー実際にサッカーと仕事を両立してみてどうですか?
>福田
思っていたより充実しているし、想像していたよりも大変。(笑)
でも、サッカーと仕事という普通の人の2倍くらい一気に経験できている充実感は大きいですね。
品川ではプロ経験者として指導したり組織を動かす側、会社ではイチ社員として労働力を提供する側。2つの視点で物事を捉えられるってなかなかない経験だよね。
>大剛
自分は仕事で言うと、本当に0からのスタートだから、少しのことでもできるようになったり
ちょっとした成果がうれしいと感じてます。
ただ一方でもっと成長したい、成長スピードあげたいと思っている自分もいますね。
激務は嫌だけど。(笑)
>長澤
僕は練習に行くために、どうやって仕事を効率的に終わらせるか、だらだらしちゃいけないなという意識の下で仕事できているかな。サッカーをやっていたり、品川の仲間と話していると仕事の疲れやストレスも忘れられて、良い相互作用が生まれていると思います。
結構品川の仲間が好きかもしれない。(笑)
>大剛
分かる、刺激になるよね。練習の合間に仕事の話が聞こえたり、SNSでサッカー以外の姿を見たりして「みんな頑張ってるな、自分も頑張ろう」って思える。
プロだったときはネットニュースもサッカーのことしか見てなかったけど、仕事や他の人のSNSで色々な情報が入ってくるようになって、視野が広がったと思います。
ーーー大変な部分は?
>福田
シンプルに、仕事もサッカーも100:100ずつ力を入れているところ。(笑)
どっちも手に入れたい、そういう性格なんです。
サッカーと仕事の両立ってすごいな、と外からの見え方は良いと思う。
でもいざやるとなった時、それなりに覚悟や決意は絶対に必要ですね。
両立するって決めたからにはどちらも全力で取り組む、そうでないとどちらも中途半端になってしまって、自分のためにも、周りのためにもならないと思います。
でも難しいからこそ、そこに取り組む価値はあると考えています。
ーーー仕事のモチベーションは?
>福田
サッカーしかやってこなかった自分でも、活躍できる場はある。
ぶっちゃけサッカー選手より楽しい仕事ってないと思います。(笑)
でも今は今で、新しいことで日々成長を感じていてそれも楽しいですね。
営業として数字作って達成したときは、試合に勝ったときみたいな感覚で充実感もあるし。
>大剛
僕も似たようなところはあって、少しずつできることが増えていくのが楽しいですね。
それをどんどん積み重ねていった先に、充実感や達成感につながるんだと思う。
ひいては、自分でどんどん稼げるようになっていきたいと思っています。
今ゴルフにハマってるんですけど、いいショットが打てた時とか楽しいし
成長する自分が好きなんだろうな。(笑)
>長澤
まだ入社して3ヵ月くらいなので、できないことが多すぎて、絶対できるようになるから仕事は楽しいですね。PCの使い方とか、敬語とか初歩的なところですけど、慣れなくて苦労してますが、必ず自分のためになるという気持ちがモチベーションです。今は品川に入ってよかったな、と思います。
ーーープロとしての経験が、仕事に活かされていると感じることはありますか?
>大剛
活かされていることは、全てかな。
小さいころからずっとサッカーをやってきているから、むしろサッカーをやってきていない自分が想像できないですね。
>福田
確かにそうですね。サッカーがベースで染みついているから、具体的に何かって言われたら難しいけど。
僕の場合は、最終節の前に契約満了を言い渡されていたんだけど、その5日後に今の会社を受けに行ってます。(笑)こういうバイタリティは、仕事を始めた今も活かされていると思います。
>長澤
僕も負けず嫌いなところは活きてるかな、と思います。
社会にでると理不尽なことも多いけど、それをスルーしないで見返してやるぞという気持ちでやる気になります。(笑)
あとは、結果が出なかったら自分のせいって思える部分もあるかも。
Jリーグから社会人リーグへ
ーーーJリーグから品川CCにきて、サッカーをする上でのギャップはありましたか?
>全員
ギャップは、ある。(笑)
>大剛
自分の当たり前が当たり前じゃないから、プロと同じ目線で考えちゃいけない、あくまで楽しむのが社会人サッカーだと思ってました。だからあまり高い要求はできなかったかな。
でもやっぱり試合中になるとアツくなって声出したりはしてたね。でも讃岐の時よりは丸くなったんじゃないかな。
>長澤
いやそんなことないよ、大剛さん品川でも怖かった時あったもん。(笑)
>大剛
そうかなあ。(笑)フクは割と周りにも要求してたよね。
>福田
そうだね。プロは勝つことにコミットしているけど、社会人サッカーは人によって色々な切り口があるから、何が正解なんだろう?と考える時期はありましたね。
>大剛
僕も品川でプロを経験している選手は希少だから、その経験を伝えていってほしいって吉田さんに言われていたけど、どんなことをどのように伝えればいいか難しいなと思ったこともあったね。
ーーーこれからJリーグから社会人チームに来る人で、同じ悩みを持つ人もいるかもしれないですね。長澤さんはどうですか?
>長澤
実はサッカーに対してあまり一生懸命になれなかった。
僕は自分自身の話になりますけど、「サッカーも頑張ります」と入ったものの、何か一生懸命になれないところがあったかな。
トップチームの練習に参加して公式戦にも絡むようになって、だんだん頑張ろうかな、と気持ちを取り戻しました。(笑)
>福田
サッカーに対して本気になれていたかと言われれば、最初は僕も全然。
ーーーそれは社会人リーグだから?
>長澤
そういうわけではないけど、Jリーグとは気持ちの入れ方は違ったかも。
今までプロとしてサッカーを仕事にしていたから、中々気持ちを切り替えるのは大変でしたね。
>福田
まあプロの時を基準にしてしまうと、3人ともそうだよね。
今思えば、仕事もサッカーも頑張る社会人サッカー選手という新しい位置づけを徐々に受け入れていったからこそ、このチームにアジャストできたと思います。
>大剛
切り替えることが大事だよね。
プロの時と比べると、サッカーに対して100%向き合えなかったかもしれないけど
今できる範囲で全力出そうという気持ちでやっています。やると決めたからにはやるというモチベーションで。
ーーー品川CCはどんな人が合うと思いますか?
>全員
「仕事もサッカーも全力で」に共感できる人
品川のクラブ理念通りだよね。(笑)
>大剛
チームの理念に共感して、覚悟を持った選手に来てほしい。
サッカーだけで上を目指したいという人は違うと思う。
>長澤
うん、そうですね。
>福田
サッカーもビジネスも両方勝ち取っていくんだっていう野心を持った人。
品川を利用してやろう、ぐらいな気持ちを持っている人がいいかな。
>長澤
やる気はあるけど具体的に何をしたらいいか分からない人もありだと思う。
>福田
そうだね。
大剛さんもいれば、長澤みたいなやつもいて、僕もいて
色んな可能性があるチームだと思っています。
アスリートでキャリアへ悩んでいる方にメッセージ
>大剛
一人で考えなくていい。
悩んだり、不安に思ったりするのはみんなそう。だからこそ色々な人に会って、価値観を広げたほうが良いと思います。ひょんなことから仕事が舞い込んだりするし、選択肢を広げる意味でも人脈作りは大事ですね。
契約満了が言い渡された時は「必要とされていないんだ」と絶望感を感じるかもしれないんですけど、サッカー以外でも多少なりとも組織や社会に貢献できて、充実感を感じることができる場があると思います。サッカーとはまた違って、新鮮さもありますしね。
>福田
複数選択肢を持った上で、次のキャリアを自分で選んでほしい。
どんな道を選択するのも自分だから、カテゴリーを落としてサッカーを続けるのも
ビジネスをやるのもいいと思う。
これしかないから選ぶではなくて、選択肢を増やす行動を自分から起こしてほしいですね。
自分で選んだ道であれば、納得感もあるしどんな道でも頑張ろうと思えると思います。
>長澤
悩んで当然、想定外のことが起きるのが人生!
プロもプロを目指している人も、満足して引退できる人なんて限られてると思う。
これまでサッカーを中心にやってきたから、次のキャリアで悩むのは当然。
引退直後の僕もその状態で、まさか1年後にビジネスマンをやりながらサッカー選手もやっているなんて、思ってもいなかったです。しかもどちらかといえば、仕事がメイン。
僕を知ってる人なら、アイツが社会人やってるの?って思う人もいると思います。(笑)
そんな想定外のことが起きるのが人生。
Jで3年、目標であったJ1には行けなかったので、もちろん悔いはあります。
でも今は、ビジネスで成功してあの時決断して良かったんだと自分の選択を肯定してやろうと思っています。そして、アイツでも成功できるんやと多くのアスリートに希望を与えられるように頑張りたいですね。
そして、東大や早稲田といった学歴にブランドがあるように、アスリート出身というのが重宝される一つのブランドになれば良いなとも思ってます。こんな僕でも少しずつ前には進めているので、悩まれているアスリートの皆さんも競技から離れてもきっと大丈夫だと思います。自分に仕事は出来ないと思ってる選手がいるのだとしたら、大丈夫!と伝えてあげたい。そこまで悪いもんでもないですよ。
プロフィール
生年月日:1984年12月3日
出身地:長崎県
経歴:
多比良サッカースポーツ少年団
国見中等学校
国見高等学校
京都パープルサンガ
大宮アルディージャ
釜山アイパーク
カマタマーレ讃岐
現職:
リスタンダード(アンバサダー)・エージェント・メディア関係
生年月日:1992/9/10
出身地:埼玉県
経歴:
皆野サッカー少年団
コルージャー正智深谷高校
国士舘大学
町田ゼルビア
グルージャ盛岡/いわてグルージャ盛岡
現職:
大手広告会社 営業職
生年月日:1993/4/10
出身地:長野県
経歴:
NPIC HERENCIA
松本山雅FCU-15
創造学園高等学校
龍谷大学サッカー部
カマタマーレ讃岐
現職:
大手広告会社 営業職